NASといえばHDDを複数組み合わせて構築できる、手軽なネットワークストレージというイメージを持つ方が多いでしょう。
個人で簡単に作れる大型のデータ倉庫ですよね。しかし、NASがPCのメインストレージと同じような働きをするとしたらどうでしょうか。
実はSSDを搭載したNASが、PCのメインストレージになる可能性が出てきたのです。
10GBイーサとSSDが織りなすオールSSDなNAS
NASを完全にSSDのみで構築する。一見、非常に高くつきそうですが、最近はSSDの価格が下落していることから、オールSSDなNASも十分に有りなのです。
これに10GBイーサのLANが普及すれば、高速通信と高速処理が相まって、単なるネットワーク上の倉庫ではなくなります。
つまり、これまでのように「データのバックアップ」や「動画の保存庫」という使い方ではなく、PCのメインストレージのようにアプリをインストール・起動するという使い方が可能になるのです。
10GBイーサの速度は、SATA3の6Gbpsを大きく上回ります。ネットワーク上のストレージでありながら、内蔵ストレージ以上に高速なデータのやり取りができるわけですね。
大容量かつ高速なNASにゲームをインストールできれば、年々大きくなるゲームクライアントに頭を悩ませる必要もなくなります。
すでに内蔵SSDに迫るパフォーマンスを誇るNAS
ある実験では、オールSSD&10GBイーサ採用のNASとSATA3接続の内蔵SSDとで、ゲームクライアントの読み込みがほとんど変わらないという結果が出ています。
もちろん、内蔵HDDよりは圧倒的に早いことは言うまでもありません。つまり、既にPC内部にSATA接続のHDDを積んでおく意義が薄れているのです。
HDDは安価で大容量化が容易なことがメリットですが、PCの小型化を阻み、処理速度が遅いことがネックでした。
オールSSD&10GBイーサ採用のNASが一般的になれば、こういったデメリットは全て解消されます。
問題は価格だが…SSD価格の下落に期待
ただひとつの弱点は、2018年現在、SSDの価格はまだまだ高いということです。NASにするからには5TB=10TB級の容量が欲しいことは言うまでもありません。
しかしこれだけの容量を実現するには、SSDだけで10万円以上かかってしまいます。これにNAS本体や10GBイーサ対応のネットワークカード、ケーブル、スイッチングハブ等を合わせると、軽く30万円~40万円になります。「SSDとHDDの選び方」でも解説しましたが、SSDは高額なデメリットがあります。
いくら便利とはいえ、これでは構築の意味を感じませんよね。しかし、技術的にはすぐにでも利用できる段階にあり、あとはSSD価格やスイッチングハブが安くなるのを待つだけなのです。
価格面の問題が解消されれば、内部にストレージをほとんど持たないゲーミングPCをNASにつないでプレイする時代が来るのかもしれません。