「SSDとHDDの選び方」で紹介したようにHDDよりもさらに高速かつ静かで、振動にも強いSSD。最近は値段も随分とこなれてきましたね。実はこのSSDがさらに進化し、高速になっていることをご存じでしたか?
しかも取り付け箇所は従来のHDDの位置ではないのです。その名も「M.2 SSD」。今回はSSDの速度をさらに向上させるM.2 SSDについて解説します。
SATAの後継規格「M.2」とは?
従来のHDDやSSDは「SATA」という規格で接続されていることが殆どです。SATAは現在、第3世代である「SATA3.0」まで進化しており、データ転送速度は6Gb/s(1秒あたり6Gb)。
ノートPC用のmSATAなどもあり、小型化も進んでいます。しかし、転送速度がネックとなっている現状があり、SSD本来の性能を発揮しきれていません。
そこで転送速度の限界突破を目的として開発されたのが、「M.2」規格です。M.2規格はPCIeスロットに接続することで、32Gb/sという爆速を可能にする優れもの。
SATA3.0が6Gb/sですから、実に5倍以上の速度ということになります。PCIeスロットに接続するため、従来のSSDやHDDとは違い、マザーボードに直接刺し込むという違いもありますね。
また、M.2 SSDは非常に小型で、電車の切符よりも小さい「横4センチから5センチ、縦2.2センチ程度」という圧倒的なコンパクトさを実現していることも見逃せません。
これだけ小さく転送速度も速いM.2 SSD。まだまだ価格はこなれていないものの、一部の自作PCファンから注目されています。しかし、課題があることも事実です。
M.2 SSDの課題、デメリット
M.2 SSDのデメリットとして、「発熱」があります。小型かつ高性能な電子機器であるため、非常に熱を持ちやすく、放熱性も悪いのです。高速処理をするにもかかわらず、表面積が小さいため、致し方無い面もあります。
しかし、グラフィックボードやテレビチューナーカード、サウンドボードなどを増設する箇所に、小さく高発熱の部品を取り付けるとなると、熱対策は必須です。PC内部の温度がかなり上昇してしまいますからね。
実はこの熱対策が意外と難しく、小型であるがゆえに他のパーツの陰に隠れたり、うまく風が当たらなかったりして、しっかり冷やすことができないという報告が挙がっています。
私自身はまだM.2 SSDを試していないのですが、パーツショップで見た限りでは、確かに熱処理が難しそうだという印象をうけました。ちょうどグラフィックボードのファンの陰に隠れてしまいますから。
M.2 SSDの爆速の恩恵を、誰もが気軽に受けるためには、もう少し時間が必要かもしれません。
ハイスペックPCを目指すなら試す価値あり!
熱処理の課題はあるものの、専用のヒートシンクや大口径ファンの搭載で、ある程度は発熱を抑えることができます。転送速度が従来のSSD比で4倍から5倍に跳ね上がるというデータがありますから、体感でもそれなりに速さを実感できるでしょう。
徹底して速度にこだわりたい!という方向けですね。CPUやグラフィックボードを高速化しても、ストレージがネックとなってPC全体のパフォーマンスが落ちることは自作PC界の常識。
ハイスペック・ハイスピードマシンを追求するのであれば、爆速SSD「M.2 SSD」を試してみてはいかがでしょうか。