高度で繊細な描画処理が勝敗を左右する3Dゲームの中でも、FPSのセンシティブさは飛びぬけています。eスポーツの代表格とされるだけあって、プレイヤーは小さな画面の乱れにも神経を使うものです。
特に「スタッター」と「テアリング」と呼ばれる画面の乱れは、時にプレイヤーから勝機を奪ってしまうほどの「隙」を生むでしょう。FPSゲーマーを目指すなら、スタッターとテアリングには十分に注意する必要があるのです。
「カクつき=スタッター」
FPSなどの高度な3D描画処理を必要とするゲームでは、画面のカクつきや歪み、ちらつきがプレイヤーの神経を逆なでします。まず「カクつき=スタッター」とは、読んで字のごとく描画がカクついて滑らかさを失ってしまうことです。
スタッターの原因は「GPUとモニターの同期がうまくいっていない」こと。例えばVsync(垂直同期信号=画面の上から下へ向かって書き換えを行う信号)を有効にすると、モニターは垂直リフレッシュレートに従ってGPUから送られてきた画像を書き換えていきます。
この時、ディスプレイ側のリフレッシュレートに満たないフレームレートしか出ていないと、スタッターが発生するわけです。GPU側がモニター上で画面が書き換わるタイミングまでに描画を仕上げられないため、このような状況が発生します。
よく、GPUのスペックが低いとスタッターが起こるのは、こういう原理なわけですね。
「歪み、ちらつき=テアリング」
一方、テアリングは1つの画面上に複数のフレームが表示されることで、歪みやチラつきが起こる現象です。例えば、描画処理が「描画1⇒描画2⇒描画3」と移り変わっていくとしましょう。このとき、モニターのある部分では描画1が、またある部分では2や3が存在する状態がテアリングです。
まだ描画1の処理途中にも関わらず2や3が割り込んできたり、2の描画処理の最中に1が残っていたりするわけですね。こちらもGPUのスペック不足やモニターとの同期不具合によって起こります。
スタッターとテアリングを防ぐ技術「G-SYNC」
スタッターやテアリングを防ぐには、単にGPUとモニターの性能を上げれば良いというわけではありません。
一般的にVsyncをon(有効)にするとスタッターが発生しやすく、off(無効)にするとテアリングが発生する可能性が高まります。そのため中級者以上になると、モニターやGPU、ゲームタイトルの相性によってVsyncのon/offを使い分け、自分なりにチューニングしていくわけです。
ただし、状況によってはどうしてもスタッターやテアリングが無くならないこともあります。
こういったVsync絡みの不具合を解消する技術がnvidiaの「G-SYNC」です。高リフレッシュレートのゲーミングモニターを使ってもスタッターやテアリングが発生しにくいよう、GPUとモニターの同期を行う独自技術。G-SYNCを使えば、同じフレームレートでも滑らかさが増し、ストレスなくプレイできる可能性が高まります。
nvidiaの独自技術ですから、AMD製のGPUには非対応なことが欠点ですが、nvidia製のGPUとG-SYNC対応モニターをそろえることで、FPSゲーマーのストレスはかなり軽減されるでしょう。本格的なFPSプレイヤーを目指すなら、ぜひおさえておきたい技術のひとつですね。