ゲーミングPCではもはや常識となりつつあるSSDの搭載。OSやアプリの起動が早く、故障しにくいことが評価されています。
しかしSSD自体がどんな仕組みなのかを理解している方は、そう多くないのではないでしょうか。特に「TLC」と「MLC」の違いは価格にも反映されますし、気になる点かと思います。
そこで今回はSSDの基本的な仕組みや記録方式の違いなどを解説していきます。
そもそもSSDって何?
SSDは「Solid State Drive」の頭文字をとった呼び方で、HDD同様に記憶装置の一種です。
HDDが内部で回転するディスクに情報を記録しているのに対し、SSDでは「NAND型フラッシュメモリ」という仕組みを採用しています。
NAND型フラッシュメモリはメインメモリと同じような半導体素子を使い、否定論理積回路(Not AND=NAND)を並べたものです。
このNAND型フラッシュメモリは、大容量化しやすく、HDD同様にストレージとしての役目を果たすのに適しているのです。
また、フラッシュメモリは不揮発性メモリで、メインメモリとは異なり電気が流れていない状況でもデータが消失しません。
これに対してメインメモリ(DRAM)は揮発性メモリと呼ばれ、電気が流れていないとデータが揮発(消失)してしまいます。
つまり、SSDはメインメモリと同じような素材を使いながら、「情報を蓄積(消失しない)」ように制御されている記憶装置といえます。
SSDの「TLC」や「MLC」とは何を指す?
SSDは、内部のNAND型フラッシュメモリのタイプによって、3つの記録方式に分けられます。
・SLC…Single Level Cellの略。1つのセルに1ビットのデータを格納する。信頼性が高いが効率が悪いため、容量あたりの値段が高い。業務用サーバーなどで用いられる。
・MLC…Multiple Level Cellの略。1つのセルに2ビットのデータを格納。単純にSLCよりも格納できるデータが増えるため、信頼性は落ちるものの値段が安い。
・TLC…Triple Level Cellの略。1つのセルに3ビットのデータを格納。MLCよりも信頼性は落ち、値段が安い。コストパフォーマンスモデルはTLCを採用していることが多い。
一般的なPC用に販売されているSSDは、ほぼMLCかTLCです。また、SLCに比べて信頼性が落ちるとはいうものの、最近では技術力の向上で、データが消失するような不具合はかなり少なくなりました。
SSDで最も重要な「コントローラー」
SSDの性能を左右するのは、コントローラーの出来です。コントローラーの性能次第で、SSDの総合的なパフォーマンスは大きく変わります。
ちなみに、SSDの不具合として有名な「プチフリ(プチフリーズ=突然一瞬~数秒のフリーズが起こる不具合)」も、コントローラーへの負荷によって発生します。
最も、現在市場に出回っている新品SSDのほとんどがこのプチフリを克服しており、コントローラー自体の品質が上がっている証拠といえるでしょう。
このようにSSDはHDDとは根本から異なる仕組みを採用している、優れた記憶装置といえます。品質もどんどん上がっていて、読み書きの速さや耐震、耐熱性の高さ、小さく軽いことから今後は間違いなく主役になるでしょう。
SSDの値段と質を正しく知るために、本記事が参考になれば幸いです。