グラフィックボードには、「リファレンスモデル」と「独自設計モデル(OCモデル)」があることをご存じでしたか?
同じGPUを使っていても、グラフィックボードによって微妙な性能差が生じるのは、こういった設計の違いがあるためなのです。
では、一体どんな違いがあるのでしょうか。
リファレンスモデルとは?
スタンダードなグラフィックボードは、大半が「リファレンスモデル」です。日本語で言い換えると「基本設計モデル」といえるでしょう。
要するに、GPUメーカー(nvidiaやAMD)が設計したとおりの構造で作られているグラフィックボードのことです。新しいGPUが発表された直後に出てくる製品は、基本的にこのリファレンスデル。GTX10シリーズ以降はFounders Edition(ファウンダーズエディション)とも呼ばれています。
メーカーごとの違いは、ロゴやパッケージ、カラーリング程度でしょうか。各社一斉にリファレンスモデルを出すことも珍しくありません。
リファレンスモデルの特徴は、OC(オーバークロック)が施されておらず、価格も比較的安いこと。また、GPU自体に問題がなければ安定性も高いです。
ファンもそれほど大型ではなく、扱いやすいタイプのグラフィックボードといえるでしょう。
独自設計モデルとは?
一方、独自設計モデルは主に冷却システムに大きな変更を加えた、各メーカーのオリジナルモデルです。なぜ冷却システムを変更するかといえば、GPUをOCしているから。
OCによってリファレンスモデルよりも性能を向上させ、その代償として大型かつオリジナルの高性能ファンなどを搭載することになります。2スロット占有型の大型グラフィックボードは、このタイプが多いですね。
グラフィックボードメーカーなら、MSIなどが代表格ではないでしょうか。独自のファンやヒートパイプ構造で差別化を図っています。
一般的に独自設計モデルの価格は高めで、リファレンスモデルよりも後にリリースされます。また、全てのメーカーが独自設計モデルをリリースするわけではないため、各メーカーの固定ファンが購入する傾向にあるといえるでしょう。
基本性能は変わらない。その差はOC耐性にあり!
GPUの基本性能は、nVIDIAやAMDが決めた通りの仕様となるため、独自設計といえども差はでません。しかし実際の性能はOC後のものとなるため、各メーカーそれぞれの工夫を凝らし、OC耐性が高められているのです。
リファレンスモデルが前哨戦、独自設計モデルが本番という見方もできますね。また、あえてOCされた独自設計モデルを購入し、リファレンスモデルと同等レベルにダウンクロックして静穏性と冷却能力を両立させるという方法もあるでしょう。
安定志向かつコスパ重視ならリファレンスモデル、独自性と性能・カスタマイズ性を求めるなら独自設計モデルといえそうです。BTOゲーミングPCのグラフィックボードは基本的にリファレンスモデルが採用されています。「グラフィックボードの選び方」も一緒にご覧ください。