2017年時点で主流となっているGPUのメモリ規格には「GDDR5」と「GDDR5X」「HMB2」などがあります。
特にNVIDIAのGPUに搭載されているGDDR5とGDDR5Xは、目にする機会が多いのではないでしょうか。果たしてこの2つにはどんな違いがあるのでしょう。
今回はGPUのメモリ規格について解説します。「グラフィックボードの選び方」にも関連する話なので是非知っておいてください。
GDDR5の拡張版であるGDDR5X
GPUのメモリ規格は、「JEDEC Solid State Technology Association」(通称JEDEC)において定義されています。
GDDR5はJEDECによって「JEDEC212」として定義されており、GDDR5Xはこの拡張版(JEDEC232)です。
拡張されたポイントを簡単に整理すると以下の通りです。
信号速度(転送速度)
GDDR5ではデータの転送はシングルデータレートもしくはダブルデータレートです。一方、GDDR5Xではダブルデータレートもしくはクアッドデータレートとなっています。
かなり乱暴に説明すると、GDDR5が1車線もしくは2車線のところを、GDDR5Xは2車線もしくは4車線を使ってデータの転送が行えるということです。
同一のデータでも、データレートが多い分、GDDR5Xのほうが有利(高速)ということになります。
メモリ容量
GDDR5の容量は、チップ1つあたり、512Mbit~8Gbit。一方、GDDR5Xではチップ1つあたり4Gbit~16Gbitとなります。単純にチップ1つ当たりの容量が大きい分だけ、GDDR5Xのほうが大容量のメモリを搭載しやすいということですね。
電圧
GDDR5は1.5Vもしくは1.35V。GDDR5Xは、1.35V固定です。
パッケージ(メモリチップのピンの数)
GDDR5は170ピンでしたが、GDDR5Xでは190ピンに増大しています。
GDDR5とGDDR5Xを搭載した代表的なGPU
2017年11月時点では、NVIDIAのGTX1000シリーズでGDDR5が採用されています。GTX1060、1070といったラインですね。新製品となるGTX1070TiもGDDR5を採用しています。
一方、GTX1080、1080TiはGDDR5Xです。やはりハイエンドの頂点付近は転送速度、容量共に優れたGDDR5Xが採用されているようですね。
ちなみに11月に発売されたGTX1070Tiと既存のGTX1080は、性能や価格がかなり近く、明確な違いのひとつがこのメモリ規格といえます。
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2018年以降はHMB2が主流に?
既にAMD製GPUでは採用されていますが、さらなる次世代メモリ規格として「HMB2」があります。NVIDIAも、ハイエンドGPUはHMB2に移行していくと考えて良いでしょう。
HMB2は既存のメモリ規格より大容量化しやすく発熱も少ないため、高性能なGPUの開発に役立つからです。しかし、GDDR5Xのほうが開発コストは安くなりそうなので、うまく棲み分けが進んでいくのかもしれませんね。