ゲーミングPCや動画編集用PCなど、ハイエンドPCでは冷却能力が重要になります。
「ゲーミングPCのPCケースの選び方」に関連する話で、冷却がうまくいっていないとPC本来の性能が発揮できないばかりか、故障の原因になるからですね。
PCの冷却性能はその大半が「エアーフロー」によって決まると言っても過言ではありません。そこでPCケース内のエアーフローに関する基礎知識を紹介します。
エアーフローの基本は「前から後ろ」「下から上」
BTOパソコンや自作PCなどで採用されるケースの大半が、「前から後ろ」「下から上」に空気を流しています。この2つはPCケース内のエアーフローで、基本中の基本といって良いでしょう。
なぜこの2つが主流かというと、2つの理由があります。
主要パーツ(熱を持ちやすいパーツ)を効率的に冷却できる
PC内のパーツで熱を発する部分は主に4つです。ひとつはCPU、もう一つはグラフィックボード(GPU)、さらにマザーボードのチップセット、電源です。
この4つを全てしっかり冷やすには、前から後ろ、下から上のエアーフローを交叉させる方法が効果的です。
前から後ろのみのエアーフローでも冷却はできますが、グラフィックボードや電源の冷却がやや甘くなります。
下から上のエアーフローで電源とグラフィックボードを冷やし、前から後ろのエアーフローでストレージ、メモリ、マザーボードを冷やすイメージですね。
さらにCPUクーラーへの空気を送り込む役目も果たします。
ケースファンが設置がしやすい
前から後ろ、下から上のエアーフローはシンプルかつ理にかなっているので、PCケースの設計が楽になります。
従って、この2つを採用したケースが大半です。特に最近では、上面排気に対応するためケースファンの増設ポートを持つケースが増えました。
PCケースの上面は12センチから14センチファンを増設するにはもってこいのスペースで、取り付けも楽です。
ハイエンドBTOパソコンや自作PCを購入する時には、上面排気に対応したケースを選ぶと良いでしょう。
CPU狙い撃ちには側面吸排気も有効
エアーフローには、上記2タイプのほかにも「側面吸気」という方法があります。
これはCPUクーラーからダクト(空気口)がケース外に繋がっており、PCケースの側面からCPUの熱を排出する方式です。
数年前まではツクモのエアロストリームシリーズで、側面排気が採用されていました。しかし現在は前から後ろ、下から上が基本になっているようですね。
CPU周りの冷却能力を手っ取り早く向上させるエアーフローといえます。
一方、PCケースの側面部に大型のファンが搭載されており、マザーボード全体をトップフロー(吹きつけ)で冷やすタイプもあります。
冷却能力はかなり上がりますが、埃が溜まりやすくなるという弱点があり、小まめな清掃が欠かせません。ハイエンドグラフィックボードを搭載するときなどは、かなりおすすめできます。
PCケース内のエアーフローとして「前から後ろ」「下から上」「側面からの吸排気」という3つを紹介しました。3つをうまく組み合わせ、冷却能力と静音性を両立させましょう。