Intel製CPUの主力製品として知られている、Core iシリーズ。Core iシリーズのグレードとしては、i3、i5、i7の3つがあることは、大抵の方がご存じでしょう。
しかし具体的にどんな違いがあるのかをしっかり把握している方は少ないのではないでしょうか。「CPUの選び方」ではCoreについてはそこまで詳しく解説しなかったのでこの記事で補足します。
Coreシリーズの違い①:コア数とHTの違い
最近のCPUは、ほぼマルチコアです。シングルコアは一部のモバイル用CPUに残っているくらいで、最低でもコアは2つ(デュアルコア)になるでしょう。
このコア数(物理コア)が多いほど、並列処理能力が強化され、複数の作業を同時に行ったとしても処理速度が落ちません。また、マルチコアに対応しているアプリやゲームであれば、コア数が多いことで純粋に処理スピードもあがるでしょう。
さらに、コア数に加えて「スレッド」という概念もあります。簡単にいえば処理するためのリソースです。このスレッドの数だけ、処理のためのリソースが多くなると考えてください。
通常はコア数=スレッド数なのですが、IntelではHT(ハイパースレッディング)という技術で、仮想的にスレッドを増やします。つまり、物理的なコア数は2であっても、HTによって仮想的にスレッドが増やされ、スレッド数は4つになるのです。
スレッドの数だけ並列処理が可能になりますから、当然処理能力は向上します。Core i7シリーズはHTに対応しており4コア8スレッド(Core i7-6700、7700)、6コア12スレッド(Core i7-6800K)、8コア16スレッド(Core i7-5960X)などを実現しています。
一方、i5シリーズは基本的にHTが無効となっており、物理コア数=スレッド数です。その代わり万能型で、内蔵グラフィック機能もそれなりにあり、コストパフォーマンスに優れています。
さらにi3シリーズは2コアが主流でHTが有効のため、2コア4スレッドとなります。しかし性能的にはi5よりも劣り、価格も安いのが特徴です。
Coreシリーズの違い②:L3キャッシュの違い
CPU内部には「キャッシュメモリ」という領域があります。このキャッシュメモリ領域に一時的にデータを退避させておき、必要な時にデータを出し入れするのです。
もし処理に必要なデータがキャッシュメモリにない場合、メインメモリからデータをもらうことになります。しかし、データの出し入れ速度はキャッシュメモリのほうが速いため、できるだけメインメモリにアクセスせずに済むほうが有利です。
つまりキャッシュメモリの容量が多いほど、CPUの処理能力が高くなる傾向にある、と考えてよいでしょう。
このキャッシュメモリの1種である「L3キャッシュ」の容量は、i7、i5、i3で異なります。i7がもっとも容量が多く「8MB以上」、i5では「6MB」、i3では「3MBから4MB」となっています。
ちなみにi7シリーズの中には、L3キャッシュが15MB(i7-6800K)や25MB(i7-6950X)というハイエンドなものも存在します。
Coreシリーズの違い③:TDPの違い
最後の大きな違いは、TDP(熱設計電力=フルパワー時の最大放熱量)です。この数字が大きいほど消費電力量が多く、発熱も大きいと考えて良いでしょう。
こちらもi7、i5、i3の順に小さくなっており、i7では最大65Wから140W、i5は35Wから91W、i3は35Wから60Wとなっています。
できるだけ省電力に抑えたいのであれば、モデル番号の最後に「T」が付く省電力モデルかi3シリーズが良いでしょう。
以上、Core iシリーズのグレードごとの違いについて解説しました。こういった仕様の違いを覚えておけば、用途に合わせたパーツ選びが可能になるため、より自作が楽しくなりますよ。