オーブンでグラフィックボードを焼いてしまうという、驚きの修理方法をご存じでしょうか?熱に弱いはずの半導体を、なぜわざわざオーブンで?と思うかもしれません。
しかしこの方法、良く調べていくと実績のある方法なのです。今回はオーブンでグラボをカリっと焼いてしまう修理法について解説します。
そもそもオーブン焼きとは?
実はこの方法、「加熱修理」といってMacユーザーの中では有名な修理方法でした。特にMacBookの基盤をオーブンで焼くという方法が有名です。
私も最初に聞いたときは「ネット特有の〇〇してみた」系のネタかなと思っていました。しかしどうやら、それなりに理にかなった方法のようです。
まずどんな不具合の時にオーブンで焼くかというと、「画面がチラつきじめたとき」です。
実はこの状態、内部のGPUと基盤をつないでいる半田が割れてしまい、接触不良を起こすことから発生します。(もちろん全てがこのケースに当てはまるわけではありません。あくまでも可能性のひとつです。)
この状態を「ハンダクラック」と呼び、加熱と冷却が交互に繰り返されることで半田クラックが起こりやすくなるのです。
MacBookは薄型のノートPCですから、GPUに負荷がかかると内部は高熱になります。薄型のノートはどうしてもエアーフローが厳しくなりますからね。
したがって冷却時との落差、回数が大きくなり、ハンダクラックが起こりやすいのでしょう。
さて、ではオーブンで焼くことが何故修理になるかといえば、冷えて割れてしまったハンダが溶け、接触不良を解消すると考えられているからです。
方法はいたってシンプル。基盤をオーブンにいれ220度前後で加熱。その後冷まして組み立てるだけです。
グラフィックボードにも有効なオーブン焼き
このようにMacBookの修理法として有名だったオーブン焼きを、グラフィックボードに応用したのがグラボのオーブン焼きです。
理屈はMacBookの時と全く同じで、ハンダクラック状態を加熱(ハンダ融解)⇒冷却(再結合)によって治します。
方法としては、グラフィックボードを基盤だけの状態(ファンやヒートシンク、プラスチックパーツは全て取り除く)にして、ネジも外します。
ブラケットも忘れずに外しましょう。その後ヒートシンクとGPUの間にあるグリスや、サーマルパッドも全てふき取ります。
最後にGPUコアだけを露出させるように基盤全体をアルミホイルで包み、準備完了です。あとはオーブンで220度付近で焼くだけです。
時間は90秒程度から徐々に伸ばすのが好ましいですが、3分ほどが目安となるようです。
あくまでも自己責任!リスクも忘れずに
今回紹介したオーブン焼きはあくまでも自己責任のもとに行うもので、公式にうたわれている修理方法ではありません。
ヒートガンを使ってGPU周辺だけを加熱する「リフロー修理」の原理を真似ているだけであり、本来は専門性の高い修理方法です。
数年前のグラボがちらついているが、できるなら復活させたい、といった場合に「壊れてもいいや」くらいの気持ちで試しましょう。