2018年、新年早々世間の話題となったCPUの脆弱性「Spectre」と「Meltdown」。実はIntel製CPUだけの問題ではなく、世に存在するほとんどのCPUが持つ脆弱性だとの報道で、一気に危機感が高まりました。
Intelではこの2つに対応する修正パッチをリリースし、事態の収束を図っています。しかし、ここで問題になるのが修正パッチにおける「性能低下」です。一説には性能を30%もダウンさせると言われる修正パッチですが、実際の影響はどの程度なのでしょうか。
「Spectre」と「Meltdown」修正パッチの影響
CPUの根幹を揺るがす脆弱性「Spectre」と「Meltdown」については、詳しく解説すると膨大な量になるため、ここでは割愛します。この2つはサーバー用途のPCに深刻なセキュリティリスクをもたらすことから、対応は必須と言われています。
しかし、修正パッチを適用してしまうと近年のCPUが積み上げてきた「処理速度向上」の仕組みが弱くなってしまい、深刻な処理性能低下を起こすようです。ただし、実際にどの程度の性能低下を起こすかは未知数で、「30%低下」という言葉だけが独り歩きしていました。
私も自作PCファンとして非常に心配していたのですが、2018年1月9日にIntelが発表したところによると、性能低下は6%~21%程度のようです。性能低下はCPUの世代に依存し、最新のCPUでは6%程度であるものの、2世代前のCore i7 6700Kでは21%の低下が発生したと述べています。
ちなみにここでいう性能低下とは、純粋な処理性能ではなく「応答性」のこと。つまり実際に人間が体感しやすい性能です。PCが、突然2割程度遅れて反応するようになる、というのがどの程度なのか想像しにくいですが、やはり影響は出てしまいそうです。
普段使いへの影響はほぼ無し
一方、良いニュースも入ってきています。修正パッチを適用したとしても、動画鑑賞やメール作成、ブラウジング程度の軽作業ならば、ほとんど影響はないとのこと。
ただし、OSやCPUの世代が古くなるごとに影響は深刻になるようで、最新の第8世代CPU以降+Windows10という環境が最も影響を受けにくいでしょう。
一部のSNSでは、FF14ベンチマークソフトで修正パッチ適用前後を比較したとき4%程度の性能低下が発生したという報告があがっています。環境はCore i7 8700K+TITAN Vですので、あまり一般的とは言えませんが、この程度で済んで良かったというべきなのでしょうね。
ゲーミングPCへの影響はあるのか?
これまでの内容から分かる通り、OSやCPUの世代に依存することが多いため一概には言えないものの、ゲーミングPCへの影響は少ないようです。海外のメディアでは人気ゲームタイトル6本で、修正パッチ適用前後のフレームレートを比較していました。
環境はIntel i7 4930K+8GBメモリ+GTX980Tiという構成で、3世代前のハイエンドですね。この環境で下記6タイトルをテストしたところ、ほとんど誤差の範囲(フレームレート1~6程度)という結果が出ています。
- PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS
- Assassin’s Creed Origins
- Star Wars Battlefront II
- Need for Speed Payback
- Destiny 2
- サイコブレイク2(The Evil Within 2)
この中で最も影響が大きかったのは「Assassin’s Creed Origins」で、約8.5%の性能低下となっています。「今まで遊べていたゲームが急に遊べなくなる!」というレベルではないので、それほど深刻にならずに済みそうですね。
もしも我慢できないほどの性能低下を感じたならば、頃合いを見て第8世代以降のCore iシリーズへ買い替えも検討していきましょう。