メニーコア時代に突入し益々重要さを増す「物理コア数」と「スレッド数」。対応しているソフトウェアも増えており、コア数やスレッド数が多いほどパフォーマンスが向上する時代になりました。
しかし、コア数とスレッド数がそれぞれ一体どんな効果を持つのか、しっかり理解できている人は少ないと感じます。そこで今回は、この2つがもたらす効果を解説したいと思います。
CPUのコア数とは何か?
CPUのコア数とは、CPUに内蔵されている「中央処理ユニット」の数です。CPUの実質的な「脳みそ」がコアですから、これが多いほど処理能力が高いことになります。
2018年現在ではクアッドコア(4コア)以上が珍しくなくなりましたが、10年ほど前はデュアルコア(2コア)やシングルコア(1コア)が普通でした。コア数は偶数であることが殆どで、ごくまれにトリプルコア(3コア)のCPUもありますが、現在はほとんど見かけません。
このコアは物理的にCPU内部に存在するため「物理コア」と呼ばれることもあります。一方、「論理コア」と呼ばれるのが「スレッド」です。
スレッドは作業ライン
インテルの「HT(ハイパースレッディング)」などが良い例ですが、物理コアをさらに作業ラインとして分割したものが「スレッド」です。
PC上では「論理コア」として表示されることもあります。通常、物理コアは特定の作業を行うために、能力の100%を使っていません。かならず余力が発生しているのです。しかし特定の作業が終わらない限りは、その余力をうまく使いきれないわけです。
そこで物理コアを仮想敵に「スレッド」として分割し、できるだけ無駄なくその力を使えるようにしています。「CPUが担当できる作業ラインの数」と考えて良いでしょう。
コア数とスレッド数が増えることの効果は?
2018年現在、コア数の増加は「CPU能力の底上げ」を達成するものとして使われています。CPUの進化は年々鈍化していて、世代が変わっても以前のように性能が伸びなくなりました。
そこで物理的なコア数を増やし、能力を底上げしようという動きが活発になっているのです。これが、メニーコア時代が本格的に到来した原因となっています。物理コア数の数に比例してCPUの処理能力は上がる傾向にあり、エンコードのように大量のデータを高速で扱う処理を得意とします。
最近はゲームでもコア数の影響を受けることが多いので、今後はゲーミングPCもメニーコア化が一層進むでしょう。
一方、スレッド数も、物理コアほどではないにせよ、性能を向上させる効果があります。ただし、スレッドの数に比例して素直に伸びていくかといえば、そうとも言い切れません。
どちらかといえば、マルチタスク時の性能低下を防ぐ効果のほうが大きいでしょう。