自作PC初心者が陥りがちな罠のひとつに「CPUファンの向き」があります。何気なく取り付けているかもしれませんが、正確な向きを知っていますか?CPUファンの向きは、PCケース内のエアフローを大きく変えてしまうため、その向きには注意を払わなくてはなりません。
では一体、上向き、下向きのどちらが正解なのでしょうか。
通常は下向きが正解!
結論から言うと、CPUクーラーのファンは「下向き(ヒートシンクに吹き付ける)」が正解です。現在市販されているほとんどのCPUクーラーが下向きだと思います。エアフロー的には、CPUファンが吹き付けた空気を背面や上面から排気する、というイメージですね。
しかし、CPUクーラーによってはファンの向きが「上向き(ヒートシンクから空気を吸い出す)」になっていることもあります。こちらはヒートシンクが放出した熱を、周辺の空気と共に吸い出す仕組みになっています。
ただし、CPUクーラーに近い背面や上面のファンが排気になっていると、ごく狭い範囲で空気の奪い合いが発生し、エアフローが乱れる可能性が出てきます。
では、仮にCPUクーラー付属のファンが「上向き(吸い出し)」になっている場合、どういったエアフローが正しいのでしょうか?
上向きのCPUファンには背面吸気&側面排気
仮にCPUクーラーのファンが上向きになっているならば、吸気と排気のバランスを考えて「背面から吸って側面から出す」という方法が良さそうです。こうすることでCPU周辺の空気を奪い合うことなく、スムーズなエアフローが実現できます。
しかし、この方法をとる場合は、GPU周りのエアフローに注意しなくてはなりません。背面が吸気になるという事は、必然的に前面を排気にする必要があります。また、CPUよりも下部にあるGPUに空気が流れなくなりがちですから、上面からも吸気を行う必要がでてきます。
さらに、前面と側面から排気することにより、PC周辺が非常に寒くなるという弊害もあるわけです。私も「背面&上面吸気、側面&前面排気」を試したことがありますが、絶え間なく流れ出る空気の影響で、冬場はかなりつらかったですね……。
CPUファンの向きが変わるだけで、ここまで大規模なエアフローの変更が発生することを、覚えておいてください。
>> 空冷CPUクーラーにおけるトップフローとサイドフローの違い。おすすめはどっち?
小型&スリム化で再燃するトップフローの人気
ここ数年はサイドフロー型のCPUクーラーが人気でした。その理由は、何と言っても冷却能力の高さとエアフローのスムーズさです。サイドフロー型はPCのエアフローとしてスタンダードな「前面吸気&背面排気」の流れに逆らわなたいめ、非常に効率的。
背の高いCPUクーラーならば、ファンの回転数を落としても十分に冷えます。しかし、最近人気を集めている小型かつスリムなゲーミングPCでは、背の高いサイドフロー型CPUクーラーは搭載できません。
そこで注目を集めているのが、トップフロー型(吹き付け型)のCPUクーラーです。薄型でメモリにも干渉しないよう工夫されている製品が多く、十分な冷却能力を持ちます。
例えば、CoolerMasterの「RAIJINTEK 0R100003」やCRYORIGの「C7 V2」などですね。ゲーミングPCの温度が心配になる前に、トップフロー型のCPUクーラーを選んでおきましょう。