2017年に続きゲーミングPC界の話題を独占しそうな2代目Ryzen(Ryzen2000シリーズ)は、Zenアーキテクチャをさらに進化させたZen+アーキテクチャを採用しています。
このZen+アーキテクチャですが、一体どのようなアーキテクチャなのでしょうか。今回は旧来のZenアーキテクチャとの違いに注目してみたいと思います。
Ryzen2000を支えるZen+アーキテクチャ
Ryzen2000シリーズは開発コードネーム「Pinnaple Ridge(ピナクルリッヂ)」として知られており、Zen+アーキテクチャによるCPUコアを使用しています。
第1世代Ryzenに使用されているZenアーキテクチャの後継としては「Zen2アーキテクチャ」が噂されていましたが、このZen+はZen⇒Zen2までの間を埋めるものです。Zen2では全面的な改良が施される予定である一方、Zen+ではZenのいくつかを改良したもののようですね。
ただし、既存の14nmプロセスから12nmプロセスへとプロセスルールの微細化が進んでおり、性能と省電力性が向上しているのは間違いないでしょう。また、キャッシュアクセスレイテンシ(CPU内部のキャッシュとデータをやり取りする時の遅延時間)が短縮されていることもポイントです。
AMDの発表では、L1キャッシュのレイテンシは最大13%。L2キャッシュは34%、L3キャッシュは16%軽減されるとしています。
ターボ機能もパワーアップ
Ryzenシリーズにはもともと、「Precision Boost」と「XFR(Extended Frequency Range)」という2つのターボ機能が搭載されています。Precision Boostは動作クロックを負荷に応じて変化させる機能、XFRは冷却状態に応じてPrecision Boost以上にOCする機能と考えて良いでしょう。
これらがそれぞれ「Precision Boost 2」「XFR2」へと進化し、自動OC機能が向上しました。
Precision Boost 2
旧世代(Ryzen1000番台)では、3コア~7コア使用時にブースト機能が効きませんでしたが、Ryzen2000シリーズでは2コア以上のCPUがアクティブでもブースト機能が作動します。これはメニーコアCPUとして、非常に大きな改良点ですね。4コア~6コアCPU使用時に、恩恵が大きいでしょう。
XFR2
旧来のXFRがさらに強化され、全コアが動作する重い処理でもブーストが効くように改良されています。
Zen⇒Zen+での改良点まとめ
ここまでの内容をまとめると、以下のようになります。
- 14nmから12nmへのプロセスルールの進化
- キャッシュ(L1、L2、L3)へアクセス時、遅延時間が軽減
- クロック当たりの性能向上、消費電力低下
- 3コア~7コア使用時のブースト機能が強化
- 全コア使用時のブースト機能が強化
このように、より多くのコア(スレッド)を使用した重い処理でもブーストが利くようになり、トップパフォーマンスが引き上げられたと言ってよいでしょう。Zen+アーキテクチャ採用のRyzen2000シリーズをメインのゲーミングPCに搭載とする方が増えそうですね。