CPUやGPUと同様に、メモリもオーバークロック(以下OC)が可能です。コアなゲーマーの中には、メモリOCまで対策する人がいます。一体どんな効果があり、どんなリスクがあるのでしょうか。
CPUのオーバークロックについて知りたい方は「自作・PC初心者のためのCPUオーバークロック講座」の記事をご覧ください。
メモリOCのメリット
メモリは、「クロック」と「レイテンシ」という2つの要素で速度が決まってきます。まずクロックはデータレートとも呼ばれ、単純なデータ転送の速度です。
これが高いほど、メモリのデータ転送速度は「速くなる可能性」が高まるのです。
次にレイテンシですが、これは「データ転送の遅延時間」のことです。レイテンシが短いほどデータのやりとりに掛かる全体的な時間が短縮されますから、こちらも速度向上に寄与します。
クロックが車の速度、レイテンスが信号機の数(もしくは待ち時間)のように考えると良いでしょう。どちらかが遅ければ、目的地に着くまでの時間は長くなりますよね。
こうしてクロックをレイテンシの調整によりメモリOCを行うわけですが、そのメリットとは何でしょうか。
メモリOCが成功すると、ベンチマークの成績が上昇します。また、CPUやGPUがOCされているのにメモリだけがネックとなってパフォーマンスが上がらない、という場合は、PC全体の性能が向上するでしょう。
しかし、メモリOCを単体で行っても、実は効果が少ないのです。ゲームでのFPSは微増程度ですし、動画エンコードもそれほど早くなりません。あくまでも、他パーツを研ぎ澄ませた後に、最後の一手として打ち出すものと考えておいてください。
メモリOCのリスク
メモリOCでは、レイテンシと電圧の調整が非常にシビアです。そのため、これらを誤ってしまうとメモリが故障してしまうばかりではなく、システム全体に悪影響を与えることがあります。
メモリOCでは少しずつレイテンスと電圧を変化させながら最適な設定を見つけていくのですが、この過程でPCが起動しなくなるリスクも負っているのです。
自作PC初心者は、あらかじめOC済みの「オーバークロックメモリ」を購入したほうが良いかもしれませんね。
メモリOCは自作PC中級者以上におすすめ
このようにメモリOCは、PC性能の底上げ、ボトルネック解消に役立つ「玄人向け」のOCといえます。CPUのOCと比べると、やや敷居が高いかもしれませんね。私も何度も失敗しました。
メモリOCはマザーボード側の耐性や機能も重要ですので、あまり初心者におすすめはできません。ある程度自作PCに慣れた中級者以上のチューニングといえるでしょう。
もしどうしてもチャレンジしたい場合は、メーカーや型番ごとの設定情報が「人柱報告」としてネットに存在していないかをチェックし、情報収集をするところから始めてみてはいかがでしょうか。